
夕方の事務所に、電話とやり取りが集中していないでしょうか。
「◯◯ビルの作業手順ってどうなってるんでしたっけ」
「田中さんが明日急に休みになりまして、誰を回しましょうか」
現場からの問い合わせや担当者への情報共有、そして翌日の穴埋めの相談など、ビルメンテナンスの管理においては、こうした細かな作業負荷が積み重なっています。そして現場のスタッフの側も、点検そのものより、帰ってきてからの書類仕事に時間を取られています。
この負荷を減らす手段が、アプリを使ったビルメンテナンスDXです。ただし、DXという言葉が先に立つと導入そのものが目的になりがちで、入れたものの現場が使わずに終わる、という結末を迎えることも少なくありません。
現場の負荷が実際にどう減るのか。アプリのどの機能が、日々のどの作業に効くのか。 そこから順を追って解説していきます。
>> 地図ベースの業務効率化アプリFuroshiki(フロシキ)について詳しく知る
ビルメンテナンスにおいて、清掃や設備管理といった業務はまだまだ人の手に依存せざるを得ません。そしてこれらには必ず報告業務が伴います。
特に紙の報告書やExcelを使っている場合、現場の作業は必ず二度発生することになります。現場でクリップボードに書き、帰社してからPCで報告書のエクセルに入力する。スマホで写真を撮り、帰社してから報告書に貼りつけを行うなど、細かい作業は積み重なることで大きな負担rとなります。
ビルメンテナンスの現場作業負荷が減らない最大の理由は、ここにあります。

時間が二重にかかる。同じ内容を2度書く必要があるため、シンプルに工数が倍近くになります。
報告精度が落ちる。点検が終わってから報告するまでに時間が空く場合は、記憶があいまいになります。現場で気づいた細かなことが抜け落ちてしまいます。
勤務時間が長くなる。作業自体は日中に終わっていたとしても、報告作業のために事務所に戻る必要が生じ、勤務時間が長くなります。
ビルメンテナンスDXの本質は、新しい仕組みを増やすことではありません。この二度手間そのものをなくし、現場を出た時点で報告業務が終わっている状態をつくることです。報告書の作成にかかっていた時間が削減できるだけでなく、その場で新鮮な情報を記録として残すことができるようになるのです。
では、具体的にどの業務が現場で完結するようになるのでしょうか。ビルメンテナンスの日常業務に沿って見ていきます。
業務 | 紙・Excel運用 | アプリ導入後 | 効いている機能 |
|---|---|---|---|
点検表 | 現場で手書き、帰社後にPCで清書 | 項目を選ぶだけで入力が完了し、そのまま提出 | チェックリスト形式の入力 |
メーター検針 | 手帳に控え、帰社後にExcelへ転記 | その場で数値を入力、異常値はその場で警告 | 逸脱値の入力アラート |
写真の記録 | 撮影後、どの箇所か思い出して報告書に貼る | 点検項目を開いた状態で撮るため、撮った瞬間に紐づく | 項目への写真添付 |
報告書 | 夜に別途作成 | 点検入力が終わった時点で出来上がっている | 入力内容からの自動生成 |
日報 | 帰社後にまとめて記入 | 移動の合間や現場を出る前に完了 | スマホからの直接入力 |

現場でアプリを使用することで、点検表と報告書の入力をその場で完了することができます。ここが最も効果が大きいポイントです。紙の点検表を使用していると、現場で書いた内容を帰社後にもう一度PCへ入力する必要があります。。この二度手間がまるごとなくなるのです。
チェックリスト形式で項目を選ぶだけの作りになっていれば、現場での入力も手書きより速く完了できます。文字を打つ場面がほとんどないからです。また異常値を入力した時点で警告が出る仕組みを設けることで、見落としや入力間違いを予防することもできます。
そして点検の入力が終わった時点で報告作業が完成しているため、夜に事務所で報告書をつくる時間をそのまま削減できるのです。
ビルメンテナンスの点検報告では写真が欠かせません。しかし紙やエクセルの運用では、撮影と報告書への貼り付けが別作業になっています。帰社後に「これはどのビルのどの箇所だったか」を思い出す作業が発生し、ここで抜けや取り違えが起きます。
アプリでは、点検項目からそのまま撮影できるようになり、撮った写真が該当箇所に自動で紐づきます。屋上の防水、受変電設備、貯水槽、共用部の破損箇所など、記録が必要な場面が多いビルメンテナンスほど、この小さな効率化が大きく積み上がっていきます。
作業手順の標準化も、品質のばらつきを抑えるうえで効いてきます。ベテランのスタッフが当たり前に行っている確認の順序や注意点は、口頭ではなかなか伝わりきりません。手順や写真をアプリ上で参照できるようにしておくと、経験の浅いスタッフでも一定の水準で作業を進められるようになり、教育にかかる時間も短縮されていきます。
では、現場での報告業務が終わることは、管理する側にとって何を意味するのでしょうか。最も大きいのは、情報が届くタイミングが夕方から日中に変わることです。アプリで入力された情報はリアルタイムで共有されるため、必要な判断や行動をすぐに取ることができます。
状況をリアルタイムで確認できる:誰がどの物件の作業を完了させたか、報告を待たずにわかります。進捗を尋ねるための電話やメッセージそのものが不要になります。
すぐに必要な行動が取れる:アプリを通して不具合の報告が上がるため、スタッフが帰社する前に必要な手配を始められます。部材の発注も、翌日の人の割り当ても、その日のうちに動かすことができます。
未提出が一覧で可視化される:紙の運用では提出されるまで抜けに気づけませんが、入力状況が見える形であれば、誰の分がまだかをその場で把握できます。
差し戻しが減る:必須項目の未入力や異常値をアプリ側で弾ける仕組みであれば、内容を確認して電話で聞き直す工程が減っていきます。
そして見落とされやすいのが、オーナーや発注元への報告の速さです。ビルメンテナンスでは、不具合の一報をどれだけ早く伝えられるかが、そのまま信用につながります。夕方の報告書を待ってから連絡するのと、現場から上がってきた時点で連絡できるのとでは、受け取られ方がまったく違ってきます。現場の入力が早くなることは、管理者の負荷を下げるだけでなく、対外的な対応の質そのものを引き上げることができるのです。
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CRMとは?SFAとの違いから機能・戦略・おすすめツールまで徹底解説
持ち帰り作業と並んで、地味に時間を奪っているのが現場からの問い合わせ電話です。
この電話は、現場のスタッフの時間と、対応する管理者の時間を同時に奪います。しかも欠員が出て代打が入るたびに発生するため、人手が足りない時期ほど増えていきます。

代打のスタッフが最初につまずくのは、作業の内容ではありません。現場にたどり着いて、建物の中に入るまでのところです。
どこに停めるか:搬入口に停めてよいのか、近隣のコインパーキングを使うしかないのか。
どの入口から入るか:正面ではなく通用口から、といった物件ごとの決まりごとがあります。
鍵をどう受け取るか:管理室で声をかけるのか、キーボックスの番号は何番か。
エレベーターの制限:客用は使えず荷物用のみ、時間帯によっては使えないといった条件があります。
その物件のクセ:屋上の扉が内側から開かない、この配電盤は建て付けが固い、など。
上記の情報はいずれも住所からはわかりません。行ったことのある人の頭の中にしかない情報です。しかし、持ち回りで担当を行う場合には情報を細かく引き継ぐことは大変ですし、そもそも巡回頻度が少ない物件では担当者自身でも覚えていないことも多いです。
地図上に物件をピンとして並べ、そのピンにメモや写真を残せる形にしておくと、この情報が物件そのものに貼り付いた状態にすることができます。そうすることで出発前にピンを開けば、停める場所も入口も鍵の受け取り方もわかります。写真が紐づいていることで、通用口の見た目まで確認することができます。
物件名の一覧から探すのではなく地図から選べるため、現場の担当者にとっては自分の一日の動きをイメージしやすくなります。管理物件の多い会社ほど、目的の物件情報にたどり着くまでの負荷も減っていきます。
誰が入っても回る状態をつくることが、欠員に強い組織をつくっていくのです。
関連記事:
営業の属人化を防ぐ、5つの方法|現場で効く打ち手と自社に合わせた選び方
ビルメンテナンス各社が24時間の緊急対応をサービスとして掲げている以上、一報が入ってからの初動の速さは、そのまま商品力や信頼へとつながります。
GPS機能付きのアプリがあれば、各担当者の現在地が地図上に表示されます。水漏れの連絡が入った時点で、そのビルに最も近い誰かを判断して向かわせることができるのです。
また早朝や深夜の単独作業、地下の機械室での一人作業といった場面では、誰がどこにいるかがわかること自体が安全管理にもつながります。位置の共有は監視のためだけではなく、何かあったときに早く気づくための仕組みとしても大変有用です。
では、実際にどのようなアプリがあるのでしょうか。ひとくちに効率化アプリと言っても、解決する業務がまったく異なります。まず類型で整理してから、自社の課題に近いものを見にいくと遠回りせずに済みます。
類型 | 解決する業務 | 代表的なサービス | 料金の公開状況 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|---|
点検・報告書型 | 点検表の電子化、写真の紐付け、報告書の自動生成 | カミナシ、ANDPAD BM、点検マスター、SmartGEMBA巡回点検 | 多くが要問い合わせ | 全規模。最初に着手するならここ |
現場管理・一元型 | 報告書に加えて案件・顧客・スケジュールまでまとめて管理 | サクミル | 月額9,800円・初期費用0円(30アカウント込み) | 従業員30名以下の会社 |
スケジュール・勤怠型 | 誰をどの現場に入れるかの配置と、勤怠の集計 | サポスケ、KING OF TIME(勤怠) | サポスケは要問い合わせ。KING OF TIMEは1IDあたり月額300円・初期費用0円 | 現場数とスタッフ数が多い会社 |
設備・法定点検管理型 | 法定点検の期日管理、設備台帳、更新履歴 | 管理ロイド、スマテンBASE | 要問い合わせ | 設備管理の比重が高い会社 |
地図・現地情報型 | 物件の地図表示、現地情報の共有、担当者の位置把握 | 訪問と巡回の記録を地図上で扱えるサービス | 要問い合わせが中心 | 巡回範囲が広く、代打や応援が多い会社 |
料金は各社の公開情報を確認できた範囲で記載しています。ご覧のとおり公開していないサービスが大半で、現場数や利用人数、書式のカスタマイズ範囲によって見積もりが変わるためです。改定される場合もあるため、検討時は公式サイトで最新の条件をご確認ください。
関連記事:
【外回り・訪問営業を効率化】営業管理におすすめのツール・アプリ10選!利用料や使いやすさ、機能の充実度など徹底比較
では、実際に業務効率化のアプリを選ぶ際は何を見ると良いでしょうか。ここで気をつけたいのは多機能なものが必ずしも良いとは限らないということです。自社の課題や業務にあっているか、現場に定着するかどうかを見極める必要があります。

現場のスタッフが使えるか:ITに不慣れな方や年齢層の高い方も多く働いています。項目を選ぶだけ、写真を撮るだけ、といった操作のわかりやすさ、簡便さが決め手になります。
電波の届かない場所で動くか:地下の機械室や階段室では電波が入らないことが珍しくありません。オフラインで入力でき、通信が回復した時点で同期される仕組みかどうかを必ず確認してください。
既存の書式や業務に合わせられるか:指定の点検表や報告書の書式がある場合、それに合わせられないと二重入力が発生してしまい、かえって手間が増える結果になりかねません。入力項目が自社に合う形でカスタマイズできるかを確認しましょう。
現地情報を物件に紐づけて残せるか:顧客先や物件ごとにピンを立てて報告書を残せるか、また自由記述メモや写真を残せるか、を確認しましょう。人ではなく物件に情報が紐づくことで、組織としての対応力が高まります。
導入と運用の重さ:初期設定に数か月かかるものから、その日のうちに使い始められるものまで幅があります。現場に即した運用を実現するためにも、まず小さくトライアル的に始められることができるとなお良いです。
現場のスタッフにとっては、使いやすさやストレスの少なさがそのまま定着率につながります。一方で管理者の方にとっては、集まった情報を判断に使えるかどうかが問われます。この2つの視点は別物ですが、どちらかが欠けてしまうとその効果は半減してしまいます。自社の業務のあるべき姿や課題を捉えた上で、それにあった最適なアプリを選ぶことは重要です。
>> 地図ベースの業務効率化アプリFuroshiki(フロシキ)について詳しく知る
では、実際にどう進めると良いでしょうか。全社で一斉に切り替えようとするのではなく、段階を踏むことをおすすめします。拙速に導入してしまうと、十分に現場の課題を解決しきれず、結果として定着しないどころか大きな反発を招き、プロジェクトが頓挫してしまうことも少なくありません。
現場担当者の作業を洗い出す 現場でどのような作業を行っているか、また帰社後の入力作業はどういったものかを、書き出します。点検表、写真貼り付け、メーター数値入力、日報提出など。数にすると、想像以上に多いことに気づく場合があります。
着手する業務を1つ挙げる 全てを一気に解決できると良いですが、欲張らずにまずは最重要となる業務を一つ挙げ、まずはその業務の効率化に最優先に取り組みます。多くの会社では点検表と報告書が該当するのではないかと思います。
範囲を絞って試す 1チームまたは1エリアに限定してトライアルを実施します。協力的、意欲的な担当者チームを選び、フィードバックを受けながら最適な運用方法を確立させます。現場の負担や混乱を抑えることができます。
定着を確認してから広げる 実際の入力状況を見てから導入範囲を拡大していきます。使われていない状態のまま広げてしまうと、失敗の規模が大きくなるだけです。
なお定着しないケース場合には、共通した原因があります。ひとつは、現場の意見を聞かずずに本部だけで決めてしまうこと、もうひとつは記録が増えるだけで現場がメリットを感じられないことです。入力した情報が自分たちの役に立つ形で戻ってこなければ、結果的に入力は単なる負担として認識されていきます。
ビルメンテナンスの業務効率化は、アプリを導入すること自体が目的ではありません。狙うところははっきりしています。現場を出た時点で仕事が終わっている状態をつくること、そして誰が入担当しても回る状態をつくることの2つです。
具体的には、現場で書いて帰社後にもう一度入力している持ち帰り作業をなくすことです。点検表の入力も、写真の添付も、メーターの数値入力も、報告書も、アプリを用いることですべて現場で完結させることができます。そして現地情報を物件に紐づけて残すことで、情報はチームの資産となり、担当者は情報を探す手間が省けます。ビルメンテナンスDXで現場の負荷を大きく減らすことができるのは、この2点においてです。
自社の業務課題がどこにあるのか、そして何を最優先に解決すべきなのかを棚卸しして、自社にあったアプリを選定するようにしましょう。
Furoshikiは、訪問先を地図上のピンとして扱い、誰がどこにいつ行ったかをチーム全体で共有する地図ベースのアプリです。ピンには報告書や写真を残せるため、駐車場所や鍵の受け取り方といった現地情報を物件そのものに貼り付けておくことができます。代打や応援が多く、現場からの問い合わせ電話に時間を取られているビルメンテナンス会社の方は、導入事例や機能の詳細を資料にてご確認ください。

持ち帰り作業を洗い出すところから始めます。現場で書いたものを帰社後にもう一度入力している作業を、1週間分だけ書き出してください。点検表、写真、メーター検針、日報が主な対象になります。そのうえで最も件数の多い業務を1つ選び、1チームまたは1エリアに限定して3か月ほど試します。多くの会社では点検表と報告書の電子化が起点になります。
点検・報告書型、現場管理・一元型、スケジュール・勤怠型、設備・法定点検管理型、地図・現地情報型の5つに整理できます。効果が最も早く出るのは点検・報告書型で、現場でその場で入力できるようになり、帰社後の清書という二度手間がなくなります。費用については料金を公開していないサービスが大半で、現場数や利用人数、書式のカスタマイズ範囲によって見積もりが変わるためです。公開されている例としては、現場管理・一元型のサクミルが月額9,800円・初期費用0円(30アカウント込み)、勤怠のKING OF TIMEが1IDあたり月額300円・初期費用0円となっています。見積もりを取る際は、初期費用の内訳、課金単位、最低利用期間、指定書式への対応、サポート範囲の5点を揃えて聞くと横並びで比較できます。
アプリだけで人手不足そのものが解消するわけではありませんが、打ち手は2つあります。ひとつは持ち帰り作業をなくして一人あたりの負荷を下げることです。現場で点検入力が完了すれば、帰社後の清書と報告書作成の時間がまるごと消えます。もうひとつが、誰でも代われる状態をつくることです。駐車場所や入口、鍵の受け取り方といった現地情報が物件に紐づいて残っていれば、代打で入った人でも電話をかけずに動けます。欠員が出ても回る組織のほうが、人手不足の影響を受けにくくなります。
選定の段階から現場のスタッフに触ってもらい、声を拾っておくことが有効です。定着しない原因の多くは、本部だけで決めてしまうことにあります。項目を選ぶだけ、写真を撮るだけといった手数の少なさを重視し、地下の機械室など電波の届かない場所でも入力できるかを確認してください。あわせて、入力した情報が現場に役立つ形で返ってくる設計になっているかも重要です。
点検表や報告書の電子化による持ち帰り作業の削減は、常駐型でも効果があります。ただし本記事で扱っている現地情報の共有や担当者の位置把握は、1人が複数の物件を回る巡回型や、広域を回るスポット型を前提とした内容です。常駐型が中心の会社では、点検・報告書型のアプリに絞って検討するほうが、投資に対する効果が見えやすくなります。
全国に販売網を持つ商社の営業組織で、大手CRM/SFAツールの導入を経験。既存の営業支援ツールが外回り営業の現場に最適化されていないという課題をきっかけに、株式会社DonDotを創業。外回り営業向けアプリ「Furoshiki(フロシキ)」を企画・開発している。プロパンブタンニュースやリフォーム産業新聞などの専門メディアにも取り上げられている。

夕方の事務所に、電話とやり取りが集中していないでしょうか。
「◯◯ビルの作業手順ってどうなってるんでしたっけ」
「田中さんが明日急に休みになりまして、誰を回しましょうか」
現場からの問い合わせや担当者への情報共有、そして翌日の穴埋めの相談など、ビルメンテナンスの管理においては、こうした細かな作業負荷が積み重なっています。そして現場のスタッフの側も、点検そのものより、帰ってきてからの書類仕事に時間を取られています。
この負荷を減らす手段が、アプリを使ったビルメンテナンスDXです。ただし、DXという言葉が先に立つと導入そのものが目的になりがちで、入れたものの現場が使わずに終わる、という結末を迎えることも少なくありません。
現場の負荷が実際にどう減るのか。アプリのどの機能が、日々のどの作業に効くのか。 そこから順を追って解説していきます。
>> 地図ベースの業務効率化アプリFuroshiki(フロシキ)について詳しく知る
ビルメンテナンスにおいて、清掃や設備管理といった業務はまだまだ人の手に依存せざるを得ません。そしてこれらには必ず報告業務が伴います。
特に紙の報告書やExcelを使っている場合、現場の作業は必ず二度発生することになります。現場でクリップボードに書き、帰社してからPCで報告書のエクセルに入力する。スマホで写真を撮り、帰社してから報告書に貼りつけを行うなど、細かい作業は積み重なることで大きな負担rとなります。
ビルメンテナンスの現場作業負荷が減らない最大の理由は、ここにあります。

時間が二重にかかる。同じ内容を2度書く必要があるため、シンプルに工数が倍近くになります。
報告精度が落ちる。点検が終わってから報告するまでに時間が空く場合は、記憶があいまいになります。現場で気づいた細かなことが抜け落ちてしまいます。
勤務時間が長くなる。作業自体は日中に終わっていたとしても、報告作業のために事務所に戻る必要が生じ、勤務時間が長くなります。
ビルメンテナンスDXの本質は、新しい仕組みを増やすことではありません。この二度手間そのものをなくし、現場を出た時点で報告業務が終わっている状態をつくることです。報告書の作成にかかっていた時間が削減できるだけでなく、その場で新鮮な情報を記録として残すことができるようになるのです。
では、具体的にどの業務が現場で完結するようになるのでしょうか。ビルメンテナンスの日常業務に沿って見ていきます。
業務 | 紙・Excel運用 | アプリ導入後 | 効いている機能 |
|---|---|---|---|
点検表 | 現場で手書き、帰社後にPCで清書 | 項目を選ぶだけで入力が完了し、そのまま提出 | チェックリスト形式の入力 |
メーター検針 | 手帳に控え、帰社後にExcelへ転記 | その場で数値を入力、異常値はその場で警告 | 逸脱値の入力アラート |
写真の記録 | 撮影後、どの箇所か思い出して報告書に貼る | 点検項目を開いた状態で撮るため、撮った瞬間に紐づく | 項目への写真添付 |
報告書 | 夜に別途作成 | 点検入力が終わった時点で出来上がっている | 入力内容からの自動生成 |
日報 | 帰社後にまとめて記入 | 移動の合間や現場を出る前に完了 | スマホからの直接入力 |

現場でアプリを使用することで、点検表と報告書の入力をその場で完了することができます。ここが最も効果が大きいポイントです。紙の点検表を使用していると、現場で書いた内容を帰社後にもう一度PCへ入力する必要があります。。この二度手間がまるごとなくなるのです。
チェックリスト形式で項目を選ぶだけの作りになっていれば、現場での入力も手書きより速く完了できます。文字を打つ場面がほとんどないからです。また異常値を入力した時点で警告が出る仕組みを設けることで、見落としや入力間違いを予防することもできます。
そして点検の入力が終わった時点で報告作業が完成しているため、夜に事務所で報告書をつくる時間をそのまま削減できるのです。
ビルメンテナンスの点検報告では写真が欠かせません。しかし紙やエクセルの運用では、撮影と報告書への貼り付けが別作業になっています。帰社後に「これはどのビルのどの箇所だったか」を思い出す作業が発生し、ここで抜けや取り違えが起きます。
アプリでは、点検項目からそのまま撮影できるようになり、撮った写真が該当箇所に自動で紐づきます。屋上の防水、受変電設備、貯水槽、共用部の破損箇所など、記録が必要な場面が多いビルメンテナンスほど、この小さな効率化が大きく積み上がっていきます。
作業手順の標準化も、品質のばらつきを抑えるうえで効いてきます。ベテランのスタッフが当たり前に行っている確認の順序や注意点は、口頭ではなかなか伝わりきりません。手順や写真をアプリ上で参照できるようにしておくと、経験の浅いスタッフでも一定の水準で作業を進められるようになり、教育にかかる時間も短縮されていきます。
では、現場での報告業務が終わることは、管理する側にとって何を意味するのでしょうか。最も大きいのは、情報が届くタイミングが夕方から日中に変わることです。アプリで入力された情報はリアルタイムで共有されるため、必要な判断や行動をすぐに取ることができます。
状況をリアルタイムで確認できる:誰がどの物件の作業を完了させたか、報告を待たずにわかります。進捗を尋ねるための電話やメッセージそのものが不要になります。
すぐに必要な行動が取れる:アプリを通して不具合の報告が上がるため、スタッフが帰社する前に必要な手配を始められます。部材の発注も、翌日の人の割り当ても、その日のうちに動かすことができます。
未提出が一覧で可視化される:紙の運用では提出されるまで抜けに気づけませんが、入力状況が見える形であれば、誰の分がまだかをその場で把握できます。
差し戻しが減る:必須項目の未入力や異常値をアプリ側で弾ける仕組みであれば、内容を確認して電話で聞き直す工程が減っていきます。
そして見落とされやすいのが、オーナーや発注元への報告の速さです。ビルメンテナンスでは、不具合の一報をどれだけ早く伝えられるかが、そのまま信用につながります。夕方の報告書を待ってから連絡するのと、現場から上がってきた時点で連絡できるのとでは、受け取られ方がまったく違ってきます。現場の入力が早くなることは、管理者の負荷を下げるだけでなく、対外的な対応の質そのものを引き上げることができるのです。
関連記事:
CRMとは?SFAとの違いから機能・戦略・おすすめツールまで徹底解説
持ち帰り作業と並んで、地味に時間を奪っているのが現場からの問い合わせ電話です。
この電話は、現場のスタッフの時間と、対応する管理者の時間を同時に奪います。しかも欠員が出て代打が入るたびに発生するため、人手が足りない時期ほど増えていきます。

代打のスタッフが最初につまずくのは、作業の内容ではありません。現場にたどり着いて、建物の中に入るまでのところです。
どこに停めるか:搬入口に停めてよいのか、近隣のコインパーキングを使うしかないのか。
どの入口から入るか:正面ではなく通用口から、といった物件ごとの決まりごとがあります。
鍵をどう受け取るか:管理室で声をかけるのか、キーボックスの番号は何番か。
エレベーターの制限:客用は使えず荷物用のみ、時間帯によっては使えないといった条件があります。
その物件のクセ:屋上の扉が内側から開かない、この配電盤は建て付けが固い、など。
上記の情報はいずれも住所からはわかりません。行ったことのある人の頭の中にしかない情報です。しかし、持ち回りで担当を行う場合には情報を細かく引き継ぐことは大変ですし、そもそも巡回頻度が少ない物件では担当者自身でも覚えていないことも多いです。
地図上に物件をピンとして並べ、そのピンにメモや写真を残せる形にしておくと、この情報が物件そのものに貼り付いた状態にすることができます。そうすることで出発前にピンを開けば、停める場所も入口も鍵の受け取り方もわかります。写真が紐づいていることで、通用口の見た目まで確認することができます。
物件名の一覧から探すのではなく地図から選べるため、現場の担当者にとっては自分の一日の動きをイメージしやすくなります。管理物件の多い会社ほど、目的の物件情報にたどり着くまでの負荷も減っていきます。
誰が入っても回る状態をつくることが、欠員に強い組織をつくっていくのです。
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ビルメンテナンス各社が24時間の緊急対応をサービスとして掲げている以上、一報が入ってからの初動の速さは、そのまま商品力や信頼へとつながります。
GPS機能付きのアプリがあれば、各担当者の現在地が地図上に表示されます。水漏れの連絡が入った時点で、そのビルに最も近い誰かを判断して向かわせることができるのです。
また早朝や深夜の単独作業、地下の機械室での一人作業といった場面では、誰がどこにいるかがわかること自体が安全管理にもつながります。位置の共有は監視のためだけではなく、何かあったときに早く気づくための仕組みとしても大変有用です。
では、実際にどのようなアプリがあるのでしょうか。ひとくちに効率化アプリと言っても、解決する業務がまったく異なります。まず類型で整理してから、自社の課題に近いものを見にいくと遠回りせずに済みます。
類型 | 解決する業務 | 代表的なサービス | 料金の公開状況 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|---|
点検・報告書型 | 点検表の電子化、写真の紐付け、報告書の自動生成 | カミナシ、ANDPAD BM、点検マスター、SmartGEMBA巡回点検 | 多くが要問い合わせ | 全規模。最初に着手するならここ |
現場管理・一元型 | 報告書に加えて案件・顧客・スケジュールまでまとめて管理 | サクミル | 月額9,800円・初期費用0円(30アカウント込み) | 従業員30名以下の会社 |
スケジュール・勤怠型 | 誰をどの現場に入れるかの配置と、勤怠の集計 | サポスケ、KING OF TIME(勤怠) | サポスケは要問い合わせ。KING OF TIMEは1IDあたり月額300円・初期費用0円 | 現場数とスタッフ数が多い会社 |
設備・法定点検管理型 | 法定点検の期日管理、設備台帳、更新履歴 | 管理ロイド、スマテンBASE | 要問い合わせ | 設備管理の比重が高い会社 |
地図・現地情報型 | 物件の地図表示、現地情報の共有、担当者の位置把握 | 訪問と巡回の記録を地図上で扱えるサービス | 要問い合わせが中心 | 巡回範囲が広く、代打や応援が多い会社 |
料金は各社の公開情報を確認できた範囲で記載しています。ご覧のとおり公開していないサービスが大半で、現場数や利用人数、書式のカスタマイズ範囲によって見積もりが変わるためです。改定される場合もあるため、検討時は公式サイトで最新の条件をご確認ください。
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では、実際に業務効率化のアプリを選ぶ際は何を見ると良いでしょうか。ここで気をつけたいのは多機能なものが必ずしも良いとは限らないということです。自社の課題や業務にあっているか、現場に定着するかどうかを見極める必要があります。

現場のスタッフが使えるか:ITに不慣れな方や年齢層の高い方も多く働いています。項目を選ぶだけ、写真を撮るだけ、といった操作のわかりやすさ、簡便さが決め手になります。
電波の届かない場所で動くか:地下の機械室や階段室では電波が入らないことが珍しくありません。オフラインで入力でき、通信が回復した時点で同期される仕組みかどうかを必ず確認してください。
既存の書式や業務に合わせられるか:指定の点検表や報告書の書式がある場合、それに合わせられないと二重入力が発生してしまい、かえって手間が増える結果になりかねません。入力項目が自社に合う形でカスタマイズできるかを確認しましょう。
現地情報を物件に紐づけて残せるか:顧客先や物件ごとにピンを立てて報告書を残せるか、また自由記述メモや写真を残せるか、を確認しましょう。人ではなく物件に情報が紐づくことで、組織としての対応力が高まります。
導入と運用の重さ:初期設定に数か月かかるものから、その日のうちに使い始められるものまで幅があります。現場に即した運用を実現するためにも、まず小さくトライアル的に始められることができるとなお良いです。
現場のスタッフにとっては、使いやすさやストレスの少なさがそのまま定着率につながります。一方で管理者の方にとっては、集まった情報を判断に使えるかどうかが問われます。この2つの視点は別物ですが、どちらかが欠けてしまうとその効果は半減してしまいます。自社の業務のあるべき姿や課題を捉えた上で、それにあった最適なアプリを選ぶことは重要です。
>> 地図ベースの業務効率化アプリFuroshiki(フロシキ)について詳しく知る
では、実際にどう進めると良いでしょうか。全社で一斉に切り替えようとするのではなく、段階を踏むことをおすすめします。拙速に導入してしまうと、十分に現場の課題を解決しきれず、結果として定着しないどころか大きな反発を招き、プロジェクトが頓挫してしまうことも少なくありません。
現場担当者の作業を洗い出す 現場でどのような作業を行っているか、また帰社後の入力作業はどういったものかを、書き出します。点検表、写真貼り付け、メーター数値入力、日報提出など。数にすると、想像以上に多いことに気づく場合があります。
着手する業務を1つ挙げる 全てを一気に解決できると良いですが、欲張らずにまずは最重要となる業務を一つ挙げ、まずはその業務の効率化に最優先に取り組みます。多くの会社では点検表と報告書が該当するのではないかと思います。
範囲を絞って試す 1チームまたは1エリアに限定してトライアルを実施します。協力的、意欲的な担当者チームを選び、フィードバックを受けながら最適な運用方法を確立させます。現場の負担や混乱を抑えることができます。
定着を確認してから広げる 実際の入力状況を見てから導入範囲を拡大していきます。使われていない状態のまま広げてしまうと、失敗の規模が大きくなるだけです。
なお定着しないケース場合には、共通した原因があります。ひとつは、現場の意見を聞かずずに本部だけで決めてしまうこと、もうひとつは記録が増えるだけで現場がメリットを感じられないことです。入力した情報が自分たちの役に立つ形で戻ってこなければ、結果的に入力は単なる負担として認識されていきます。
ビルメンテナンスの業務効率化は、アプリを導入すること自体が目的ではありません。狙うところははっきりしています。現場を出た時点で仕事が終わっている状態をつくること、そして誰が入担当しても回る状態をつくることの2つです。
具体的には、現場で書いて帰社後にもう一度入力している持ち帰り作業をなくすことです。点検表の入力も、写真の添付も、メーターの数値入力も、報告書も、アプリを用いることですべて現場で完結させることができます。そして現地情報を物件に紐づけて残すことで、情報はチームの資産となり、担当者は情報を探す手間が省けます。ビルメンテナンスDXで現場の負荷を大きく減らすことができるのは、この2点においてです。
自社の業務課題がどこにあるのか、そして何を最優先に解決すべきなのかを棚卸しして、自社にあったアプリを選定するようにしましょう。
Furoshikiは、訪問先を地図上のピンとして扱い、誰がどこにいつ行ったかをチーム全体で共有する地図ベースのアプリです。ピンには報告書や写真を残せるため、駐車場所や鍵の受け取り方といった現地情報を物件そのものに貼り付けておくことができます。代打や応援が多く、現場からの問い合わせ電話に時間を取られているビルメンテナンス会社の方は、導入事例や機能の詳細を資料にてご確認ください。

持ち帰り作業を洗い出すところから始めます。現場で書いたものを帰社後にもう一度入力している作業を、1週間分だけ書き出してください。点検表、写真、メーター検針、日報が主な対象になります。そのうえで最も件数の多い業務を1つ選び、1チームまたは1エリアに限定して3か月ほど試します。多くの会社では点検表と報告書の電子化が起点になります。
点検・報告書型、現場管理・一元型、スケジュール・勤怠型、設備・法定点検管理型、地図・現地情報型の5つに整理できます。効果が最も早く出るのは点検・報告書型で、現場でその場で入力できるようになり、帰社後の清書という二度手間がなくなります。費用については料金を公開していないサービスが大半で、現場数や利用人数、書式のカスタマイズ範囲によって見積もりが変わるためです。公開されている例としては、現場管理・一元型のサクミルが月額9,800円・初期費用0円(30アカウント込み)、勤怠のKING OF TIMEが1IDあたり月額300円・初期費用0円となっています。見積もりを取る際は、初期費用の内訳、課金単位、最低利用期間、指定書式への対応、サポート範囲の5点を揃えて聞くと横並びで比較できます。
アプリだけで人手不足そのものが解消するわけではありませんが、打ち手は2つあります。ひとつは持ち帰り作業をなくして一人あたりの負荷を下げることです。現場で点検入力が完了すれば、帰社後の清書と報告書作成の時間がまるごと消えます。もうひとつが、誰でも代われる状態をつくることです。駐車場所や入口、鍵の受け取り方といった現地情報が物件に紐づいて残っていれば、代打で入った人でも電話をかけずに動けます。欠員が出ても回る組織のほうが、人手不足の影響を受けにくくなります。
選定の段階から現場のスタッフに触ってもらい、声を拾っておくことが有効です。定着しない原因の多くは、本部だけで決めてしまうことにあります。項目を選ぶだけ、写真を撮るだけといった手数の少なさを重視し、地下の機械室など電波の届かない場所でも入力できるかを確認してください。あわせて、入力した情報が現場に役立つ形で返ってくる設計になっているかも重要です。
点検表や報告書の電子化による持ち帰り作業の削減は、常駐型でも効果があります。ただし本記事で扱っている現地情報の共有や担当者の位置把握は、1人が複数の物件を回る巡回型や、広域を回るスポット型を前提とした内容です。常駐型が中心の会社では、点検・報告書型のアプリに絞って検討するほうが、投資に対する効果が見えやすくなります。
全国に販売網を持つ商社の営業組織で、大手CRM/SFAツールの導入を経験。既存の営業支援ツールが外回り営業の現場に最適化されていないという課題をきっかけに、株式会社DonDotを創業。外回り営業向けアプリ「Furoshiki(フロシキ)」を企画・開発している。プロパンブタンニュースやリフォーム産業新聞などの専門メディアにも取り上げられている。

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